VERTECS Studio

 お客様からカタログ掲載されている写真はどこで撮影されているの?とのお問合せを頂戴する機会がございました。そう言っていただけると本当に製作した甲斐がありましたw

カタログに掲載しているものや一部提案図などにはCGを用いた画像を用いらせて頂いております。特注品の製作が多い弊社は、なかなか実製造までして写真撮影をするということが難しい側面があり、事前に使用感などを見て頂けるよう出来る限りリアルなパース制作を心がけています。

時間の関係上、3次元CADの画像をそのままでお渡しする場合もございますが、より使用感や画像診断装置とのマッチングを検討する際などにはCG専用のソフトでモデリングを行います。

 では、今回は具体的なモデリングを順を追ってご説明させて頂きます。

  • 弊社で使用しているCGのモデリングソフトはAutodesk社の3DS MAXを用いて製作しております。今回モデリングする物はアンギオ装置向けの患者寝台マット「リリーフマットAG薄型」となります。実サイズは2000mm x 450mm x 40mmとなりますので、その大きさに合わせてMAXの画面上に「BOX」を配置していきます。
  • この「BOX」について、実製品と同じく四つ角を面取りしていきます。
四つ角を面としておおよその形に整えていく
  • 角の面取りがおわったあと、ポリゴン化し各バーテックス(頂点)が四角ポリゴンになるように面を分割していきます。この四角ポリゴンへ分割する作業は最終的な仕上がりが非常に関係しておりり、手を抜かずしっかり面分割を行っていきます。ただ今回は立方体な製品なのでこの面分割は非常に簡単に行えます。
    下図のとおり、頂点を線でつなぎ合わせ、四角ポリゴンになるようカットを進めます。
頂点間をカットしてポリゴンを細分化
スライス後のポリゴン形状
裏面も表面同様にスライス
  • ここから更にリアリティを上げていくため、実製品のように「縫製」箇所を作っていきます。リリーフマットは極力エックス線撮影時の陰影を少なくするため、「マチ」は作らずに表生地と裏生地の2枚を側面中央付近で縫製しています。その実製品と同じようにMAXでのモデリングも側面中央付近に縫製箇所を作っていきます。
マット内側へ約5mm程度押し込まれたポリゴンパッチ
  • ここまで出来たとところで、全体にスムーズ化(TurboSmooth)を行い簡易レンダリングを行ってみます(下図)
    凡その形は出来上がったのですが、あまりに綺麗すぎて実物の製品とはかけ離れたCG感が漂っています…。実製品では当然表皮の「シワ」であったり、そのシワに当たった光の乱反射などがあり、それらをこのモデリングにも少し付け加えてあげるだけで、随分とリアルさが増します。
  • ポリゴンをさらに細分化して、「シワ」を作っていきます。
    全体的に「ノイズ」モデファイヤーを適用し、小さな凹凸をつけていきます。
ポリゴンの細分化
「ノイズ」モデファイヤー適用し、小さな凹凸をつけていきます
  • さらにリアルさを増すために、表面生地に「シワ」を手動でつけていきます。今回は手抜きで「Poly Cloth」というプラグインを用いてシワを追加していきます。
    Poly Clothで表面のポリゴンを摘まんであげるとリアルなシワが生成されます。今回はテスト的なモデリングである為、ある程度適当にシワを生成していますが、気合の入った画像を作る際は、人体モックアップを用いて、実際に患者さんが寝た状態でどのようなシワが発生するのかをシミュレーションしながら質感を上げていきます。
Poly Clothでのシワ作成後のモデリング
地面をつくり簡易的なマテリアル設定を行ったテストレンダリング
  • おおよそモデリングを煮詰めた状態で、マテリアルの設定とライティング、反射などの細かな設定を行ったあと、ようやく本番のレンダリングとなります。
    今回のマットのモデリングは、わかりやすいように多少「シワ」を極端につけた結果となりますが、最初のボックス図から始まり、随分とリアルな感じになりました。またレンダリングマシンの能力アップと、GPUによるレンダリングにより以前よりかなりの短時間でフォトリアリスティックな画像が生成出来るようになりました。
最終レンダリング画像 <V-Ray IPR GPU+CPU Rendering>
  • 今回は、私たちバーテックスがどのようにして設計~製品イメージを行っているかをほんのちょっと公開させて頂きました。使用される先生方、医療従事者の方々、そしてその先の患者さん。全ての人にとって、製品導入前からどのような医療機器/医用品があったらより良い診断/治療が可能なのか?を見える形でご提案させて頂ければと考えています。
    単に設計や図面にとどまらない「VERTECS Studio」を今後も是非期待してください。